『トレーナーがプレシーズンに求められること』<2月編> 〜どうする?練習量vsトレーニング量〜

さいたま市でチーム専属のトレーナーをしています、アスレティックトレーナー・S&C・鍼灸師の中谷大志です。

朝晩の寒さもほとんど感じないぐらい春っぽい気温になってきました!

前回は『トレーナーがプレシーズンに求められること』の1月は何を意識して、どんな想いを持って仕事してるの?という内容の記事を書きました。

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今回は『2月編』です!!

前回記事の内容とも被りますが、2月やるべきことというのは3月、4月にどのようなイベント(大会やOP戦など)があるのか?それに向けてチームとして個人としてどのような姿を目指すのか?がなければイメージはできません。

現在帯同チームにおける2月にやるべきことと言えば、、、

  • 2月末〜3月から始まるOP戦(実践)に向けての身体作り
  • 技術練習増加に伴い、疲労管理や怪我予防の徹底

大きく分ければこの2点です。

まず、これらが求められる2月に入る前にやることは、1月取り組んだ結果がどう現れているか?を考える必要があります。

”なんとなく”良くなったという、熟練者の経験からくる眼も時には大切ですが、我々は専門家としてその感覚をできる範囲で数値化(見える化)する事で選手や指導者が納得しながら目標に向けて日程を進めていけると感じます。

例えば、、、

「あの選手、動きよくなってきた」という見た目から得られた情報、、、

アジリティタイムの向上、体脂肪量減少、などが数値として現れ、柔軟性+安定性の獲得&向上 を日々のコンディショニングで確認

「あの選手、パワーがついた」という見た目からの情報、、、

体重(その中でも除脂肪量)の増加、ウエイトトレーニング挙上重量、挙上速度、パワー値の向上、などが数値として現れ、柔軟性+安定性の獲得・向上を日々のコンディショニングで確

など、1月で良くなったこと、悪くなったこと、変化がなかったこと、それぞれの要因を紐付けするように考えます。

※ただ、数値に固執してそっちが先行してしまうのは絶対に避けるべきことです

「数値を用いて、できる限り見える化を図るがそれはあまり当てにしてはいけない」という「どっちやねん!」と言いたくなるような矛盾めいた結論ではありますが、この塩梅が非常に大切でリアルなところです。

話を戻します。。

というところで、2月は、1月に比べれば技術練習の量が大幅に増えます。

それに、次のステップである実践練習に備えて練習の強度(球速・スイングスピード・スプリントスピード)も上がってくる時期でもあります。

量が増える、、、強度が上がる、、、

専門知識の有無に関わらず、怪我が増えそうなイメージは想像着くかと思います。

言い換えれば、2月〜3月はシーズンの中で一番怪我に注意しなければいけない時期とも言えます。

特に肉離れなどの筋肉系の怪我には注意しなければなりません。

1月に色んな観点から取り組んでいたトレーニングの強度をさらに上げる!というよりも、疲労管理や怪我予防の徹底が最優先事項になります。

トレーニング頻度や強度を下げることに対して不安になってしまう、指導者や選手もいるかと思います。

しかし、前述したように、技術練習の量と強度がUPしてウエイトトレーニングの量や強度もUPするのは効率的とは言えませんし、オーバーワークになる可能性が非常に高いです。

繰り返しになりますが、こうならないためにも1月の段階で2〜3月、それ以降の展開を想定した計画が必要です。

もしそのチームの指導者や選手が技術練習とトレーニングの相乗効果に期待しているのであれば、、、

トレーニングに取り組める体力を計算した技術練習をプログラムデザインする必要があるでしょう。

その辺りは、チーム方針的な要素が大きいことと、2月に沖縄など暖かい気候のところに2週間程度キャンプ(合宿)ができるのであれば、技術練習に割く時間が多くなることも賢明だと思います。

非常に細かい話ですが、その対比が「技術5:5フィジカル」なのか「技術7:3フィジカル」なのかチーム事情や日程などによって柔軟に計画することが大切です。

ただ、ストレングス&コンディショニングを管理する立場からの意見としては、、、

「技術10:0フィジカル」は避けた方が良いと感じます。

”最低”でも「技術8:2フィジカル」は必要かなと思います。

1月よりトレーニング量を下げても良いと思う点は、技術練習の反復回数が多いことがすでに、トレーニング要素になっているから。

ノックの本数が多いということは、それだけ各方向へのスプリントや方向転換などのアジリティ動作の反復回数も増えている

スイング数、投球数が増えているということは、全身運動での回旋動作の反復回数も増えている

このような観点から、技術練習にトレーニング要素加わっているのでトレーニング量は落として良いと判断します。

逆に、フィジカル要素”0”は避けた方が良い理由としては、、

そもそもトレーニング(ウエイト・ラン系・自重系)は技術練習だけでは得られない要素がある、もしくは技術練習だけで得るよりそこにフォーカスしたトレーニングをする方が効率的な場合があるということが実施する目的なので、全ての体力要素を技術練習だけで補おうとするのはリスクがあるように感じます

その上で練習量やトレーニング量の割合をチームでしっかりと決めてプログラムデザインすることが最優先課題である「怪我予防」にも繋がり3月〜4月に向けての無駄のないステップアップに繋がると思います。

細かいチェックポイント(注意点)としては、、、

各関節可動域や筋肉の硬さに明らかな左右差がないか

数日間、変化のない(良くならない)筋肉痛や張り感がないか

自覚的疲労度睡眠の質の大きな低下がないか、またそれがOFFを挟んでどれだけ回復しているか

 ※↑この数値は毎日、取り続けて通常時のその選手の平均値を把握したほうが分かりやすいです

明らかな体重減少(筋量減少)がないか(1週間で2kg〜3kgなどの大幅な減少に注意)

スプリントタイムやアジリティタイム、球速やスイングスピード(ロングティーなどの飛距離)の低下

主にこれらに目を向け見逃さないために、数値を追うだけではなく会話の中で気づけること、プレーの中で気づけること、食事の摂り方から気づけることなどいろんなアンテナを張るのがチームトレーナーの仕事だと感じます。

数値だけで判断できれば、それはAI(人工知能)ができてしまうので、そのような「面と向かった時に感じる何か」を敏感に感じとるのがこの仕事の醍醐味とも言えるかも知れません(^^)

では、この辺りで!!

最後までお読み頂きありがとうございました。

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