『トレーナーがプレシーズンに求められること』 <1月編> 〜大切なのは〇〇性があること!?〜

さいたま市でチーム専属のトレーナーをしています、アスレティックトレーナー・S&C・鍼灸師の中谷大志です。

ブログの更新が滞っている間に、2021年も3月に突入してしまいました^^; (早すぎる)

ということで、今回の内容は、、、

『チーム専属トレーナーが1月、2月に求められること』<1月編>

私が現在帯同している社会人野球チームは毎年、1月に新チームがスタートします。

4月入社予定の大学4年生も、年始から練習や試合に参加するので、まだ大学生(社員ではない)だけど社会人選手扱い?という少し不思議な時期でもあります。

早速、私がどういった考えでこの時期チームから求められることに応答するかを紹介していく前に、、

チームの背景として、、、

昨年2020年の場合だと11月の下旬にシーズン終了し12月は1ヶ月間チーム単位での練習やトレーニングはなく、選手は1日会社勤務、勤務後に各々身体を動かすといった流れになります。

勤務後、といってもシーズン中はほとんどの時間を野球に使わせて頂いている分、不慣れな生活によるストレスや、仕事の内容によっては早朝から夜遅くまでの残業があったり、なかなか計画的に練習やトレーニングができないのが実際です。

さらに、今年はコロナウイルスの影響で多少なりと少なかったのではないかと思いますが、それでも年末年始故郷に帰省すればなかなか普段ゆっくりできない家族や親戚、地元の友達、大学、高校の同級生たちと毎日のようにお酒を飲んだり、美味しいご飯を食べたりする、日頃応援してくださる方々と過ごす時間は選手にとって必要不可欠です。

ということで、まず1月のスタートと同時に確認することのひとつに、

”身体組成”を測定すること

があります。

これに関しては、昨年のデータがある選手(新人選手以外)はシーズン中の数値と比較すると「こんなにあからさまに出るか!」っていうぐらい数値(主に体脂肪)に出ます。笑

体重が増えた内容が脂肪量として増えていることを数値化して明確にすることで、動き始めの怪我のリスクが上がっていることは間違いないと言えます。

そして、チームとして1月に求められていることは、

『2月のキャンプに向けての身体作り』です!

例年、2月に沖縄へ2週間程度キャンプへ行くのでその際に技術練習〜実践練習ができる、いわゆる野球ができる身体の状態にすることがトレーナーには求められます。

私の中で、1月にクリアすべきことは、、

  • 全力疾走の出力に耐えられる身体(筋力)
  • 技術練習の数が増えても耐えられる身体(持久力)
  • 切り返し動作や回旋動作など競技動作に特徴的な負荷に耐えられる身体(神経系-協調性など)

ざっくり言えばこの辺りをクリアにすべく、4週間の計画を立てます。

まず、1月の4週間の計画を立てますが、2月のキャンプ期間で技術練習の量が増えること、3月にOP戦がたくさん組まれて、4月〜7月には大会が多々あり、少し空いて9月〜12月上旬までコンスタントに公式戦や大会があることなど大枠の計画があっての『1月』という”ストーリー性”が非常に大切です。

それを踏まえて、2月の技術練習に向けて上記に挙げたような1月の目的(課題)を元にメニューを細分化していきます。

ここからは具体的に、、、

まず、練習初め〜2週間程度は、投手野手関係なくアスリートとして必要な関節可動域筋力持久力各種動作の見直し〜獲得までを全員一緒に行っていきます。

内容としては、

  • 全体ストレッチ(約10分)

股関節周り〜胸郭周りを中心に静的なストレッチ動的なストレッチそれらを組み合わせたものといった流れの中で順序立てて動かしていきます

→毎日行うことで、特に日々身体の変化が出やすいシーズン初めのコンディションチェックとして、日々の変化や左右左を感じることを選手に促す工夫をします

  • コアトレーニング(約15分)

→ストレッチからの流れで自重負荷をかけて心拍数筋温を上げていきます

 この時点で0℃近い真冬でも汗が滲み出てくるくらいだとOKかな?という感覚です

→プログラムの内容は静的(アイソメトリック)な負荷〜動的(バリスティック)な負荷を意識的に組み込んでいきます

 可動域を獲得していく中で、自分の筋力でコントロールできてこそ獲得した可動域がスポーツの動作に活かせると感じます

  • 走動作ドリル(約20分)

壁(球場だとフェンス)を利用したウォールドリルなども取り入れながら”走る”という動きを丁寧に見直していきます

 肉離れのほとんどが疾走(スプリント)中のもので、スピードをあげようとしてオーバーストライドになるなどの走動作のメカニズムのエラーによるものが多いのでここは時間をかけて反復します

→大まかにプログラム内容は、姿勢づくり〜歩き動作〜ホップ動作〜スキップ動作〜脚の入れ替え動作〜バウンディング動作〜スプリントといった流れで、選手が言われなくても覚えるぐらいに一つ一つの種目に対して意識することを説明しながら行うようにしています

全体で行うので、 ”なんとなく” 前の選手や横の選手に合わせてやってしまうのが、チームスポーツで良くあるウォーミングアップや動きづくりの悪い例で、『コレをやるのはこのタメで、できないとこうなる』と個々にイメージさせる声かけ、説明、デモンストレーション、つまり“伝え方”がめちゃくちゃ大切だと思っています。

→各種ドリルの本数や距離、動きの強度などは段階的に調整していきます

 例えば、最初からホップ系を繰り返しすぎるとアキレス腱炎や脛骨過労性骨膜炎(シンスプリント)などのリスクもあるのでその辺りを考慮しての強度調整が必要です

  • 日替わりコンディショニング(約20〜30分)

→前項の走動作まで終わればよっぽど極寒出ない限り、汗が滴るぐらいまで身体は温まっているはずです(着てた上着1枚脱ぐぐらい)ので少しづつ目的別に特化したトレーニングを入れていきます

・インターバル走、シャトルラン(持久力 系)

・ジャンプドリル、メディシンボールドリル(筋力 系)

・ステップ・アジリティドリル(神経協調性 系)

・サーキットトレーニング(↑複合的に!)

などのメニューを距離や本数、回数、秒数、といったトレーニング変数を段階的に調整しながら日替わりで行っていきます

ここで注意したいのは、『2月の競技動作に対する怪我予防、動作改善、パフォーマンス獲得に繋げていく』という目的を忘れてはいけないと言うこと!

ですので、計画する中で”なんとなく”日替わりでコレらのメニューを組むのではなく、

少し強度をUPしたアジリティ動作を獲得したい、前のクールにステップドリルや股関節ドリルを多く含んだサーキットトレーンングをやっておく、その前の走動作でラテラル(横方向)の動きも入れておく、などここでも一貫したストーリー性があった方が良いように感じます。

表現が正しいか分かりませんが、、、^^;

最終的に競技動作へ移行する際に、やってきた事の伏線回収できるようなイメージで身体の機能的な動作をすり込んでおくようなプログラムを計画できれば最高だと思いますし、私もそこを意識しています。

このように、1月の練習初めは約1時間〜1時間半ぐらいのかけて各種コンディショニングを行っていきます。

やはり、第一優先は怪我予防です。

その中で動作スキルの改善や向上、結果としてパフォーマンス向上・競技力向上に繋がれば任務完了です。

そうすんなりいかせてくれないのが、現場のリアルですが、、、笑

ということで、私がチームトレーナーとして1月に意識していることは、

『”ストーリー性”を持って計画すること』です。

どうしても、地味なメニューやキツイという感情が先にきてしまうメニューが多くなりがちですが、「頑張ってやれ!自分に勝て!」という精神論だけではなく(もちろん気持ちの強さは大事!)どう2月、3月、そして4月の公式戦開幕へと繋がりをイメージさせられるかが専門家として腕の見せ所ではないでしょうか?

では1月編はこの辺で!

最後までお読み頂きありがとうございました。

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