野球選手に必要な身体能力は? 〜トレーナーが介入すべき要素を考える〜

チーム専属のアスレティックトレーナー(鍼灸師・コンディショニング担当)をしております、中谷大志です。

先日、母校が高校野球甲子園交流試合に出場し、仕事の合間にタイミングよく観戦することができました!

巷で話題?のPOPな校歌を聞けて懐かしい気持ちになりました!

さて、今回は”野球選手に必要な身体能力”について、考えていきたいと思います。

ここでいう必要な能力とは、”これが無ければ野球が上手くなれない” といったものではなく、上手くなる要素(可能性)を増やすために、どのような身体能力の獲得を目指すべきか?トレーナーが介入できる点を中心に整理していきます。

言い換えれば、「S&Cやアスレティックトレーナーが野球選手に何を求められるか?」という事でもあるでしょう。

前提として、野球というスポーツが上手くなるには、その技術を磨く、いわゆる技術練習をひたすらやる事だと思っています。

トレーニングだけをして野球の能力が上がる事はありません!!

大切なのは、技術練習の中で頭打ちしている要素、上手く身体が使えない要素をトレーニングをする事で、その成果として今まで出来なかった技術要素が出来るようになるといった流れです。

ですので、私が意識しているのは技術要素に介入しすぎず、野球のトレーニングというよりは、必要とされる身体能力に対して極力シンプルに考えることです。

私のようなコンディショニング担当が求められることは、第一に怪我をしない身体づくり、その上でさらなる身体能力向上、その結果として、野球(スポーツ)のパフォーマンスアップを目指すということです。

重いウエイトを上げることや可動域が大きくすること、身体を大きくすることはそれがパフォーマンスアップに必要と判断した上での過程の話です。

ですので、そのために、コンディショニング担当のトレーナーがどういった視点で介入していくかは非常に重要です。

野球に必要な能力とは、、

まず、野球というスポーツに必要なパフォーマンスは大きく分けると、

  • 打つ
  • 投げる
  • 捕る
  • 走る

ざっくりとこんな感じでしょうか?

ひとつずつ考えていきましょう!

打つ

まずは、ボールを打つ上で、以下のことが求められます。

  • 投げられたボールをバットに当てる
  • 打球を遠くに飛ばす
  • 速い打球を飛ばす

バットに当てるためには、投げられたボールの軌道を読んだり、球種やコースを読む力が必要なので、比較的技術要素が高いと考えられます。(ビジョントレーニングなど視覚のトレーニング要素もある)

打球を遠くに飛ばしたり、速い打球を打つには、相手投手の球速に対する反発と自らのスイングスピードをあげることが必要です。(飛距離と打球速度には相関関係がある)

このスイングスピードは、除脂肪量(筋肉量)の増量に大きく影響するため、このパフォーマンスアップにはトレー二ングにより向上を図れる可能性があります。

打つということにトレーナーが介入できるのはスイングスピードをあげるということ、このために必要であるのは除脂肪量(筋肉量)を向上させる計画をすることだと考えられます。

簡単に言うと身体を筋肉で大きくすること!それを速く動かすこと!

その目的の中で、打つという動作で必要な、下半身の伸展筋力や体幹の回旋筋力、握力、背筋力、その動作に必要な柔軟性などを考慮しトレーニングメニューを作成します。

スイングスピードが上がり、技術要素、体力要素などでその再現性をあげることができれば、その選手の「当たり前のスキルレベルが上がる」ことになり打率など調子の安定にも繋がる可能性があります。

投げる

投げるというパフォーマンスは以下の目的があります。

  • 相手に対して正確に投げる
  • 速い球を投げる
  • 遠くに投げる

正確に投げること、すなわちコントロールを良くすることは、技術要素が高いように感じます。ただ、その技術要素は身体的要素によって阻害されている可能性もあるので、選手を良くみること、実際に測定や評価することが必要です。

例えば、股関節の可動域や筋力に問題があり、踏み込み脚が安定せず、リリースポイントが乱れる可能性もあります。

速い球を投げることに関しては、スイングスピードど同様に除脂肪量(筋肉量)に相関関係があり、トレーニングによって効果を期待できると考えられます。

スイングと同様に投球動作に関わる筋力を中心に身体を大きくすること、速く動かすことを考慮してメニューを作成します。

ただし、投球動作自体が非常に複雑であり、それぞれの身長や投球スタイル、フォームが異なるため、冒頭に述べたように技術要素に介入しすぎず、あくまでも技術要素に影響を与える可能性が高いトレーニング要素ということで、ある意味、割り切って考えることも必要です。

これにプラスして、球速が速い選手の共通点や、投球動作の再現性をあげるため、阻害する可動域の改善などに対してのメニューも考えます。

最終的にはそれらを高めた上で実際にボールを投げること自体が一番の能力を向上させるトレーニングだと思います。

捕る

捕ることに関しては、ボールとの距離感やバウンドの合わせ方、構え方など非常に技術要素が大きいように感じます。

その捕球姿勢が取れないなど身体的な原因があれば、それに対するトレーニングや柔軟性の改善が捕ることに対してのパフォーマンスを向上させる可能性はあると思います。

また、球際の踏ん張りや姿勢を維持して次のプレーにつなげる動きなどは、研究などはなかなか難しい部分ですが、いわゆる”体の強さ”といった部分でトレーニング要素も技術的要素の土台として機能しているのかなと感じます。(肌感覚です)

捕球技術に対してトレーニングを組むということは少ないです。というよりは、ノックやゴロ捕球という技術練習にトレーニング要素が組み込まれていることが多いと思います。(捕手のストッピング練習など)

走る

  • 直線スプリント
  • 加速・減速・方向転換
  • 打球を追う、捕ってから送球へのステップ動作
  • ベースランニング(周り、打球判断など)

トレーナーとして介入できることは、まずは直線スプリントを向上すること。

走動作も非常に技術要素が高く、専門的な練習が必要ですが、その技術を得るための、下肢筋力や姿勢維持の筋力を高めるためのトレーニングを作成します。

また、加速・減速・方向転換などのアジリティ要素も技術要素と筋力要素どちらが阻害要因になっているかを考慮し、アプローチができると思います。

打球判断や守備時の走る技術などは技術要素が高いので、その際のステップ動作や姿勢などを把握して、ウォーミングアップやトレーニングで向上を図れる点もあると感じます。(捕るという要素と少し被りますが、、)

まとめ

打つ・投げる・捕る・走るというパフォーマンス要素別にトレーナーが介入できる(すべき?)ところに関しての考え方を整理していきました。

実際の現場ではもう少し、各要素を掘り下げていき、どの筋力や柔軟性が必要かといった研究結果などをもとに「全体で取り組むこと」「ポジション別で取り組むこと」「個別で取り組むこと」なども考慮してメニューを作成、計画していきます。

私は現在、社会人(大卒以降)の成人選手を相手にトレーナーをしているので、ただ身体を大きくするのではなく、脂肪量を増やさずに筋肉量の増量を意識したり、増えた上での筋力発揮速度(パワー値)が上がっているかを追いかけながらメニューを計画し、更なる伸び代を見いだすことや怪我などの既往歴に対しての予防し、年齢といった背景も考え、選手も持っている能力をいかに最大限引き出せるか、それを野球のパフォーマンスに転化できるかに日々試行錯誤しています。

これが、育成年代の小中学生や高校生、大学生ではフォーカスすべき点が変わり、アプローチの方法も変わってくると思います。

まだまだ書ききれないほどの要素がある中でコンディショニング担当のトレーナーはメニューの計画、作成を行なっています。

今、簡単に情報が手にがいる世の中で選手や指導者が『プロ野球選手がやっていたから、、』といった動機だけでトレーニングなどに取り組むことが悪いことではありませんが、それが本当に自分が必要なことかを考えて判断しなければ、逆にパフォーマンスを阻害してしまうリスク、怪我のリスクになったり、目的に対して遠回りの方法を取っていたり、貴重なアスリート寿命を消費してしまう可能性があります。

逆も然り、トレーナーも参考書に載っていたり、セミナーで講師が紹介していたというだけの理由でメニューを処方するのはリスクがあると感じます。

 結局、いつもこんな言い方になってしまいますが、様々な要素がある中で「コツコツ」と積み重ねて、試行錯誤していくことがパフォーマンスアップに繋がる近道なので、野球選手は「コレとコレをやっとけばパフォーマンスが上がる!」なんて魔法みたいな簡単な話ではないのです。

だから、研究者の人達が必死で研究し私達のようなスポーツ現場にいる専門家がそれをもとに実際にチームや選手が求めていることと擦り合わせていくことが必要だと思います。

これがチームにトレーナーを帯同するメリットだとも言えるのではないでしょうか?

今のチームにメリットと思われるように、日々研鑽してチームの勝利に貢献できるようにもっともっと頑張らなければ、、、

本記事中に出てきた除脂肪量などのことに関して以前に書いた記事に少し詳しく書いていますので、参考までにどうぞ

少し専門的な内容となりつつ、結局は具体的な事は言ってません(結局言えない)が最後まで読んで頂きありがとうございました!

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