さいたま市でチーム専属のアスレティックトレーナー、鍼灸師、ストレングス&コンディショニングを担当しています、中谷大志です。
今年は予定されていた日本開催のオリンピックの影響で帯同チームの大会日程も、例年と違う状況になっており、11月下旬〜12月にかけてピーキングを図る初めての試みです。
やったことがないであろう時期にやったことのない強度でのプレーにこちらとしても慎重になる日々です(・・;)
今回の内容は、Twitterで見かけた(最近よく目にする)
「チームトレーナーの募集」に関して。
私が携わっている野球の場合は、1年のスタートが1月が多いと思います。
ということは10月下旬〜11月あたりが募集がでるタイミングということになります。
私が見かけて、考えさせられたTweetがこちら、、
この求人の内容がこちら、、
確かに、Tweetされていた方のおっしゃる通りで、
この競技のこの職業をしている人間ならある程度のイメージはできますが、
一般の就職活動で「給与」「週休」「勤務時間」「雇用形態」などを記載されていない求人があればほぼスルーですよね(^_^;)
というより、仕事内容の次に上記にあげた点を確認して応募するかどうか決めると言っても過言ではないかなと思います。
ただ、チームスポーツで実際に働くものとしての立場から、
実際に求人を出してくれという話になった時に、
どう書けばいいか?どう書けば嘘にならないか?
治療院やトレーナー派遣会社などからチームに派遣されている際はその派遣元とチームとの間で契約期間や契約料が決定されることが多く、その場合、実際に働くトレーナーは派遣元からの給与所得になるため、派遣元の治療院や会社の求人にはそのような内容は記載されていることは多いです。
そういった派遣元がなく個人とチームの契約の場合は、
「給与」「雇用形態」「契約期間」に関しては個人とチームの契約になるため、そのチームの提示する要件、トレーナーの今までのキャリアや要望なども含めて相談して決めることが多いと感じます。
どちらにしてもチームトレーナーは基本的に1年契約でシーズン終了時に来年度の契約を決めることが多いかと思います。
問題の「週休」「勤務時間」は不定期すぎて(定時の概念がない)記載できないのが本音ではないでしょうか、、
このチームトレーナーという職業のこの働き方が良い、良くないという賛否は別として、
「休み」「出勤」「退勤」の境界線を引くのが難しいです。
以前の記事で1日の仕事例を紹介しております。ご参考までに。
もちろん他の職業の方々も勤務中以外のプライベートな時間に仕事の電話をしたり、資料作成に追われたり、取引先と会食があったり、、様々なしがらみ?があるかと思います。
チームトレーナーの場合には、まず「出勤時間」というのが曖昧で、
練習や試合が始まる時間やチームが集合する時間に出勤すれば良いとは限りません。
故障選手の選手のリハビリメニューを準備したり、予防のエクササイズやテーピング、その他スタッフへの情報共有、ウォーミングアップの準備、選手の体調チェック、グランド状態、天候などの確認 などなど、、
全てを逆算した上で出勤時間は決まります。
故障者やテーピング、物理療法での準備などが必要な選手が多ければそれに費やす時間が多くなるため、その他の準備を前倒しにしなければなりません。
つまり、出勤すべき時間早くなります。
退勤時間に関しても同様で、その日のチームスケジュールが遠征なのか、半日練習なのか終日練習なのか、ミーティングやその他行事などがあるのかでチームとしての解散時間が変わります。
ほとんどの場合はその後に故障選手や違和感のある選手などの治療に入っていきますので、チーム解散後に自主練習をする選手やトレーニングをする選手がいればさらにそれを待っての治療開始になります。
例えば、遠征で渋滞して帰りが遅くなればその分、仕事が終わる時間も遅くなります。
逆も然りで、状態が良い選手が多く思ったより早く終了できることもあります。
つまり、退勤時間と言われても分かりませんの一択ですね、、笑
ですので、「勤務時間」をあえて記載するとすれば、 【「6:00〜23:00」ぐらいの間で早まったり遅くなったりします】
といったところでしょうか?(^_^;)
これなら書かない方が良いかとも思ってしまいますね、、
そして「週休○日」といったとこですが、もちろんチームスケジュールに「OFF(休み)」は存在します。
ただ、それは「選手はしっかり休みましょうね」といった目的の「OFF(休み)」であり、このOFFを使って次の試合や練習にいかに良い状態で入るかのための準備の一環でもあります。
そうなると、OFFの日に治療や病院受診、リハビリなどに時間を割くべき選手は数名いるのがリアルです。
たまたまそのような状態で対応するべき選手がいなくても、そのOFF日に怪我をして応急処置が必要になる例も実際にありました。
(アウトレットで呑気に買い物をしていましたがすぐに戻りました (;_;)笑)
つまり、チームのOFF=チームトレーナーもOFFというわけにはなかなかいきません。
ですので、求人に「週休○日」とは書けないですよね、、、
勤務時間も不定期、休日も不定期(ある?)という仕事なわけで、チームトレーナーがそのチームで一人の場合はまさに身動きが取れない状況が1シーズン(約11ヶ月)程度、続きます。
残りの1ヶ月も、今シーズンのまとめや来シーズンの計画、手術選手の有無、各種セミナー出席などでなんだかんだやる事は多くありますが、比較的、縛りは緩い気がします。
複数名のトレーナーを雇えるチームであればシフト制などで負担も多少は軽減されるとは思いますが、ここぞの時はそれでも総動員での対応が必要になるかと思います。
これを巷でいう”ブラック”と捉えるか”やりがい”と捉えるかは本人次第なわけですが、チームトレーナーという仕事を年間契約で全うするには、
「自分をコントロールする力」は確実に必要になってきます。
先ほどあげた勤務時間の例で「6:00〜23:00」だとしてもどこかで気持ちのメリハリをつける事も必要だし、チームのOFF日にとれそうな”自分の時間”を想定して行動する、タイムマネジメント能力みたいなものも必要、
つまり、チームや選手のスケジュールに合わせる中でいかに
「自分のスケジュールを計画して、実行できるか」
は非常に重要だと感じます。
これができない人、苦手な人ほど、念願のチームトレーナーに就任できたとしてもいっぱいいっぱいになってしまってパンクしてしまう、最悪の場合は心身の健康を損ねてしまうといった状態になってしまう事をよく見たり聞いたりします。
この職業自体が嫌いになって別の職に移る人もいたり、、
それは個人の自由で選択肢としてもありですが、今実際に働くものとしては少しさみしいことでもあるのが本音です。。
少し、話はそれてしまいましたが、
チームトレーナーの求人の記載が足りてないのはこのような微妙な(特殊な?)働き方を箇条書きの要項にして表現するのは難しいからだと思います。
そのような微妙なニュアンスはインターンで経験したり、実際に働く人の話を聞くのが一番かと思いますし、このブログもひとつのリアルですので良くも悪くも判断材料になれば良いかなと思います。
今、チームトレーナーとして働く立場としてこの職業の人材を雇うことの重要性をチーム関係者や選手自身に理解してもらうこと、ましてや1人でチームを請け負うことの限界や労働状況のリアルに対してしっかりとした報酬を発生させることが必要だと思って働いています。
これは、我を押しつけるといった意味ではなく、何事も言いなりになる、波風を立たせない事ばかりが正解ではないという事で、職業の意義、ポジションを明確にするために、時には言いづらいことも言わなければならないと言うこと。
『トレーナーはボランティアでも雇える』と考えている指導者やチーム運営者の方が多くいるのが現状です。
大金を払って学校にいったり、多くの時間を費やして知識や経験を積んで
『報酬0』の職業をこれから目指したいとは思いませんよね、、
でも、必要としてるチームが多くあり、需要がある。このギャップです。
そして何より、チームで働いているトレーナー自身がチームとともに、トレーナースキルと共に、人間的にも成長できること。
こんな職業は少ないと思いますし、私自身もこれからチームトレーナーを目指す方に「やめといた方がいいよ」とは決して言いません。
それぐらいこの仕事に誇りを持っています。
だからこそ、周りへのこの職業に対する理解と必要性を広めるために今、何が出来るか、何をすべきか、
その辺りを考えつつこれからも精進していきたいです!
では、この辺りで!
最後までお読み頂きありがとうございました。
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