”メディカル(医療系)トレーナー” が陥りがちなスポーツ現場とのギャップ

さいたま市でチーム専属のアスレティックトレーナーをしております、中谷大志です。

9月も中旬にさしかかろうという時期ですが、まだまだ猛暑が続いており、選手のコンディショニングが非常に難しいところです。

日々、天気予報やカレンダーと向き合いつつ、計画調整をしています(^_^;)

さて、今回のトピックは『医療資格を保持しているトレーナー(メディカルトレーナー)』に関して。

トレーナーといっても様々な立ち位置、働き方があることはまとめていますので ”こちら” をご覧ください。

医療資格を持つトレーナーと呼ばれる存在が求められることは、いわゆるメディカルの仕事が多いと思います。

メディカルとは、、(私の解釈)

→ 怪我した選手をグランドに戻すまでのサポート(応急処置、治療、リハビリなど)

資格としては、、

  • 理学療法士
  • 柔道整復師
  • 按摩マッサージ指圧師
  • 鍼灸師
  • アスレティックトレーナー
  • スポーツ栄養士(回復の栄養サポート)

この辺りの資格保持者がそのポジションを担うことが多いと思います。

逆に考えれば、こいったポジションで仕事をしたいと考えているのであれば、これらの資格取得を視野に入れて将来のプランニングをすればいいのかも知れません。

また、この資格保持者のメディカルトレーナーの働く場として、

  • スポーツ現場に常駐
  • クリニック、治療院、施設勤務
  • クリニック、治療院、施設勤務しながらたまに現場へ

といった場所があります。

私、自身もアスレティックトレーナーでありながらストレングス&コンディショニングを任されつつ、鍼灸師の資格を持ち合わせていますので、『メディカル』の要素もトレーナーとして持っています。

本来であれば、複数のトレーナーで分業するのがベターですが、アマチュアスポーツの場合はチーム予算なども限られていることが多く、チームに対して一人のトレーナーがサポートすることも少なくありません。

これから、述べていくことは、決して『メディカル系のトレーナーは分かっていない!』といった内容ではなく、現在、両面からの景色をみることができる(見なければならない)立場から、感じる「ギャップ」に関してです。

私自身が、”メディカルの顔” の時に気をつけるべきことでもあります。

この、「ギャップ」を一番感じるのは ”リハビリ段階” です。

怪我や手術をしてすぐの初期のリハビリ〜徐々に段階を踏んでグランドレベルのリハビリ、いよいよプレー復帰するためのリハビリ

リハビリにも段階があり、分けるとするならば、初期の通常レベルの動きまで戻すのを理学療法士や治療家(柔整、鍼灸、按摩マッサージ指圧師)などが担い、スポーツ復帰できる動きに戻すのをアスレティックトレーナーが担います。(アスレティックリハビリテーションとも言われます)

怪我の度合いにもよりますが、どんな怪我であっても一番繊細になるべきところは復帰するタイミングだと思います。

おそらく、選手も指導者も専門家も一番「怖い」ところです。

この「怖さ」を0にするのは難しいとしても、できる限り0に近づけることが我々トレーナーと呼ばれる専門家の役割だと考えています。

つまり、復帰前にある程度の負荷に耐えられるかどうかの確認作業がお互いの「安心度」を増すために必要になります。

そこで、注意したいのは、メディカルを担当しているトレーナーが思っている以上に、教科書や参考書、論文に書いている以上にスポーツが身体に与える負荷は高いということ。

「病院の先生に3週間安静にして痛みが無ければ走っていいと言われました」

「2週間ノースローにして徐々に投げていってと言われました」

本当によくある例です。(というよりだいたいこんな感じが大半?)

これで実際に復帰することを考えてみて下さい!

→ 走るってジョギング?ランニング?全力疾走?

→ 徐々に投げるって何メートル?強さは?数(量)は?

不安だらけですよね(^^;;

すごくシンプルに考えれば、、

「これができたからこれが出来そうだね、ここに気をつけてやってみようか」

「これが痛いなら、もう少しこれを継続してやって、少しやり方を変えてみようか」

など、負荷を上げる理由、上げない理由、スポーツに復帰できる理由が必要です。それでも上手くいかないことはありますが、何となくいけそうだから復帰ではリスクが高すぎると思います。

メディカル系の立場で働くトレーナーの強みの一つは、細かいところまでチェックしていたり全身の評価から改善点を導き出せることだと思います。

ただ、ここに執着しすぎるがゆえに、いざグランドに出て復帰に向けての段階を踏もうとする際に ”プレーできるイメージが湧かない” 選手がいることがあります。

これは、選手の立場やチームとの連携ができていない、選手が理解していない、など理由は多々ありますが、次の段階にリハビリが繋がっていない事実です。

つまり、スポーツ現場との「ギャップ」が大きいということ。

実際の選手の言葉で、、

「これで本当に投げれるようになるんですか?」

「実際のプレーの衝撃ってこれの何倍もきますよね?」

まさに、不安要素が多い状態です。言うならリハビリ不足?の状態。

そうなってしまうと、プレー復帰に時間がかかりますし、プレーに復帰したとしても以前のパフォーマンス復帰に時間がかかります。

ここの考え方はすごく大切で、

→ 競技ができるレベルに復帰するまで

→ 競技に復帰して以前のパフォーマンスを発揮するまで

この2つの復帰レベルは違うということ。

病院、クリニック、治療院などの施設でサポートされていることは前者をイメージして復帰としていることが多く、スポーツ現場でサポートしているトレーナーや指導者、そして選手は後者をイメージしていることが多い印象があります。

ですので、その「ギャップ」をなくすために、メディカルトレーナーの立場であっても、アスリートの競技復帰後のイメージまでを理解してサポートして、プログラムを進めていくことの大切さを感じています。

復帰という言葉に対して ”全体と同じメニューで練習することなのか” ”少しだけでも試合に出れることなのか” ”バリバリ試合に出れれることなのか” この辺りを明確にして、選手・メディカル・指導者の間で共通認識を持つことがリハビリを失敗させない、再発させないために非常に重要だと思います。

私自身もウエイトトレーニングやランニング、スプリントなどある程度行っていますが、バットスイングや遠投、打球を追っての守備などをたまにやってみたときの身体へのストレスは全くベツモノのように実感しています。

(その感覚を忘れないように定期的にやってみるようにしています)

実際のスポーツ動作でどのぐらいの負荷がかかるのか自分で行うことも参考書や論文を読むのと同じぐらい大切だと思います。

むしろ、自分が処方するリハビリメニューぐらいは自分でも行っておけば「このエクササイズの時はここ注意しないと」と気づくことも多くあります。

裏を返せば、ストレングス&コンディショニングを担うトレーナーは、対象選手がリハビリプログラムの中でどういった時期かを把握してリコンディショニングしていけば、積極的にいける要素、愛護的にいくべき要素が明確にできると言うことでもあります。

各立場の専門家がそれぞれの強みを活かすために必要なのは結局そういった連携のところで、「この選手の競技復帰のために」という思いが一致していれば自然に解消される問題だと感じます。

自戒も込めて、

  • 選手の意見や感覚をしっかり把握すること
  • 伝えたい事、プログラムの流れが伝わっているかを確認すること
  • 復帰という言葉がどのレベルを指しているかを共有すること

これらをもう一度、意識して仕事していきたいと思います。

結局のところ、協力者との信頼関係、チームワークですね。

何事も(^^)

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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