チーム専属のアスレティックトレーナー(コンディショニング担当)をしています、中谷大志です。
ここ数日、悪天候が続きメニューの計画も臨機応変に対応する日々が続いております。
野球は屋外競技ですので、室内での限られた環境の練習やトレーニングは精神的にもストレスがたまるな〜と改めて感じるとともに、梅雨明けの気温上昇に備えた戦略も練らなければいけません。
いわゆる、アスリートのコンディションに与える環境的な要因に対して試行錯誤するのも我々アスレティックトレーナーの仕事です。
今回は、チーム専属トレーナーはどのような立場で働くことを求められるか?またどのような意識で働くべきか?
私の現在の意識や感覚を整理したいと思います。
本ブログ内で何度も言っていますが、トレーナーは総称的な表現であり、アスレティックトレーナー、ストレングス&コンディショニングコーチ、理学療法士、治療家など様々な職種があり、今回の内容はもう少し幅を広げると、そのチームに専属として関わる全ての人に置き換えても良いかも知れません。
(例:管理栄養士、分析スタッフ、マネージャー、学生コーチ、カウンセラー、清掃員、グランドキーパーなど)
おそらく、上記にあげたような、チームに関わる人々はそのチームのプレイヤーではないので役職としては『チームスタッフ』という立場で存在していると思います。
その『チームスタッフ』をもう少し細かく分けた際に、”監督コーチ”いわゆる技術指導者と”それ以外”の指導者(私の場合ですとアスレティックトレーナー、コンディショニング担当としてフィジカル的な要素の指導者)に分けられます。
この時に、”それ以外”のスタッフはどういった立ち位置をとるか?がチームという組織においては、非常に重要であると感じます。個人競技の場合でも技術指導者と選手の間にフィジカル面などをサポートする存在がいる事は競技レベルが上がるほど多く見かけると思います。
良くある例は、、、
・トレーナーがスタッフ側に重心をおいていて、選手が本音を言いにくい
→違和感や痛みがあっても相談できず重症化したり、高圧的な態度がゆえに信頼関係が破綻し、ただの「面倒くさい存在」に、、、
→選手から『トレーナーから監督コーチにもっと練習に関して言ってくださいよ!』という声が増える。
・トレーナーが選手がただの仲が良しに見られ他のスタッフに煙たがられる
→スタッフ間での会話や選手に漏らしたくない事柄が筒抜けになっているのではないか?という嫌悪感を持たれ信頼関係が破綻、スタッフ間での発言権などを失う、、、
→何か提案や問題提起をしても『どうせ、選手の言ってる事だろ?甘やかすなよ』という捉え方をされるケースが増える。
これらは、分かりやすくするために極端な例ではありますが、現場のリアルな問題です。
全国各地に、このようなニュアンスで悩まれてるチームスタッフの方は多数おられるのではないでしょうか?
この問題に対しての答えは、、、
「ないです」(・・;)
いつも見てくださっている方は、煮え切らない着地点になり恐縮ですが、チーム専属でその他スタッフや選手のもと専門家として働くことはそれだけ生々しい職業だということです。。。
というのも、、
私(アスレティックトレーナー)は、”選手” ”スタッフ” 両者と、専門家として、一人の人間として思っていることを本音で伝えなければいけません。
ここでの本音は全てをベラベラという本音ではなく”噛み砕いた本音”ぐらいの感じです(^^;;
選手とのやり取りは、「身体の状態」「最近の変化」「アスリートとしてのの考え」「プライベートの事」本当に様々なことを話します。
ただ、地元の友達や高校の先輩や後輩などと、話す感覚とは違い”その会話の情報”の中からその選手の日常の変化にいかに「気づけるか」という情報収集が目的になります。
この情報が多ければ多いほど、後の伏線回収としてその選手にとっての問題解決が必要な際に繋がることが多々あります。
家族、嫁、子供、彼女、兄弟の事、昔のこと、最近のこと、今後のこと、などたくさん選手に話してもらうためには、それなりの信頼関係が絶対に必要です。
信頼関係を気づくためには自分自身がどういう人間か?をまずは、知ってもらう事が大切だと思います。
日常会話、チーム内に発する言葉、立ち振る舞い、など選手にとって心を許せる存在であることは非常に重要です。
これもガチガチに規律正しい行動をとるのか、少しラフな感じでいるのか、それはその人自身のスタイルであって正解はないと思います。
その中でも個人的には喜怒哀楽から生まれる自然体な”ニンゲンクササ”を表現するスキルはトレーナーとして持って置いて損はないと思います。
スタッフとのやり取りは、アスレティックトレーナーの仕事上「選手個々の身体の状態報告」「目標とする大会に向けてのチームとしての計画」「チーム方針に応じてのトレーナーとしての意見提起」などがメインになります。
その中で、全体を統括する監督、ポジション別に管理しているコーチ、双方に同じ内容を話す事もあれば、必要な情報を各々に話す事もあります。
また、技術指導者側からの観点をもとにその選手に対してアプローチをする事もあり、違う視点からの情報が問題解決に繋がるケースもあります。
もちろん、スタッフからそのような情報や考えを聞き出すためや、トレーナー としての考えに耳を向けてもらうためには、”自分がどのような人間でどんな考えを持っているのか?”を知ってもらい、日々の言動で信頼関係を築かなけれいけません。
このように、私自身は肩書き上はチームスタッフでありながら、
”選手” と ”スタッフ” 両者の間に存在する”橋”みたいな立場だと意識しています。
冒頭で「この問題に答えはない」と述べたようにどっちつかずな”都合の良い存在” になってしまいそうですが、決してそういった意味ではなく、この立場がひとつの役割としてしっかりと存在すべきという事です。
つまり、双方の様々な話が耳に入る反面、非常に孤独な立場であり、自分自身を律する精神力や人間力が伴わなければその”橋”は破綻し組織として良い方向には進まないと思います。
”選手” と ”スタッフ” それぞれに対して、それぞれの言葉や内容、伝え方などまで、その時の状況に応じて様々な取捨選択を頭の中で行い整理して決定しなければいけません。
時には当該選手とトレーナーの中で留めておくべきと判断する事柄もあります。
全国優勝など経験豊富なレジェンド現役選手が、、
「 社会人野球は捕手とトレーナーの力量で勝てるかどうか決まる 」
と言っていたと、ある選手から聞きました。
チームにとって ”選手” と ”スタッフ” 間の ”橋” になる『トレーナー』、”投手” と ”野手” 間の橋になる『捕手』と考えた時に、その百戦錬磨のレジェンド選手の言葉が腑に落ちた気がしました。
社会人野球はプロ野球や学生野球と比べると、トレーナーは1〜2人、捕手も3〜4人と比較的、限られた人数の選手やスタッフでチームが構成されているので、よりその役割にいるひとりの人間の力量がチームに影響を及ぼすという事なのかも知れません。
結論、チームの専属トレーナー(その他スタッフ)として選手側?スタッフ側?
どっち側に立つべきか?などという考え方そのものがナンセンスなのかも知れません。
私も数年前、アスレティックトレーナーとして働き出した際に、この道 数十年の先輩トレーナーの方に恥ずかしながら、
「スタッフの考えと選手の考え、トレーナーとしてどれぐらいの割合でくみ取りますか?」
と質問した記憶があります。
その方の答えは、
「(スタッフ)51:49(選手)かな」
でした。
今考えると、すごくリアルな答えだと感じますね(^_^;)
現在働かせて頂いてる立場、役割がいかにチームにとって重要なポジションか、
このポジションがいかに、心身ともに充実した人間でないと務まらないか、
それらを再確認するとともに、自分自身の足りないところも整理できた様な気がします。
この記事が、これからチーム専属〇〇いう形で、働きたいと思っている専門家やそれを目指す専門学生の方にとって何か少しでもチームで働くイメージが湧き、モチベーションに繋がれば幸いです!
最後までお読み頂きありがとうございました。
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