チーム専属トレーナーが考える”本番”で能力を発揮するための準備とは?〜グランド以外の”本番”から学んだこと〜

さいたま市でチーム専属の鍼灸師・アスレティックトレーナー・ストレングス&コンディショニング担当をしています、中谷大志と申します。

先日、行われた都市対抗野球大会、南関東予選で代表権を獲得し、11月22日から東京ドームで行われる本戦に出場することが決まりました。

もちろん勝負はここからで、日本一を獲るために日々取り組んでいますが、まずはそのためのスタートラインである日本一を目指せる権利を獲ることがチームの1年通して一番大きな目標と言えます。

各地区によってリーグ戦からの決勝トーナメントや、負けたらまた違うヤマに入ってのトーナメントなど、代表決定方法は様々ですが、ほとんどのチームが最後は1発勝負の勝つか負けるかの境地に立たされます。

社会人野球を観ている通な方は、大人が泥臭く全力で喜び、全力で悔しがる、この都市対抗予選が一番見応えのある戦いで毎年楽しみにしているのではないでしょうか?(^ ^)

やってる方は吐くほど緊張しています、、、笑

チーム専属のトレーナーとして業務に当たる中で、

そのような、本番と言われる究極の場面で力を発揮するためにはどのような準備が必要だと感じているか?

今回は、そんな事を考えてみたいと思います。

もちろん、勝負の世界ですので必ず勝敗はどちらかに転びますし、運が味方することも、敵に回ってしまう事もあります。

ただ、それに頼る以前の段階で勝負に「勝つ確率をあげる」準備が必要だと思います。

科学的な話をするべき立場としては、少し論点がズレているかもしれませんが、実力を発揮するにあたって、また発揮する準備をするにあたって「考え方」というのは個人的に非常に大切にしているところです。

この「考え方」が選手にとって能力を発揮をブロックする要素になったり、能力発揮を後押しする要素になると思っているからです。

究極の場面で、ベンチなどから飛び交う言葉に、

「思い切っていけ!」

「開き直っていけ!」

「割り切っていけ!」

などと言った言葉がよく聞こえてきます。

どれも、技術云々よりも頭の中を整理するニュアンスの言葉に感じます。

私自身も高校、大学と野球をやっていましたがある程度のプレーは普段できてもここぞの場面で「力を発揮する力」みたいなものが弱い選手だったと感じています。

もちろん実力がそれまでだったという可能性も大いにありますが、完全に「考え方」に間違いがあったと気づきたのは大学を卒業してからでした。

スポーツと学業で違いはありますが、

専門学校で勉強する中で本番で力を発揮するための考え方のコツを掴んだような感覚がありました。

以下、書いていきます。

大学を卒業して、この道に進むために専門学校に入り資格を取ることが人生に置いて一番近い目標、

つまりトレーナーとして働くスタートラインに立つ権利を得るために3年間で資格取得することが目標になりました。

当時で言う、本番と言うのは私の場合、専門学校入学後、

26ヶ月後ぐらいにある「アスレティックトレーナー筆記試験」

2年8ヶ月後ぐらいにある「鍼灸師の国家試験」

同時期にある(筆記が受かれば)「アスレティックトレーナー実技試験」

ということになります。

この時のために準備する過程での学内の期末試験も多々ありました。

私はそれまでいわゆる1発で合否(勝敗)が決まる、人生を左右するような試験を受けたことがなく”本番”を経験したことがなかったので、最初の3ヶ月〜半年ぐらいは覚えることの多い授業にすごく苦労しました(^_^;)

(勉強自体は自らやりたいと決めたものなので楽しかったですが、、)

自分でも何がきっかけかは、はっきりと覚えていませんが、

ふとした瞬間に、”試験に向けて勉強している自分”と”野球部だった当時に試合に向けて練習している自分”が重なり、このままだと同じ失敗をしてしまう、、と感じました。

親の洗脳教育(笑)もあって、決めた事を継続してやり抜く精神力には自信があったので、”何を頑張るのべきなのか”を頭の整理をしっかりしてから、得意な「やり込む」作業に入るということを覚えてから、勉強はすこぶるはかどり始め学内のテストでもスッキリした感覚で取り組めるようになりました。

今思えば、「考え方」によってブロックされていた能力を発揮する力が使えるようになり始めた瞬間だったと思います。

競技者の時に苦しんで遠回りしたからこそ、そこに気づけたのかも知れません、、、

こういった、出来事から、

『力を発揮したい試合に向けて準備する練習』『力を発揮したい試験に向けて準備する勉強』の考え方はかなり似ているものがあるぞ!と今でも思っています。

・試合(試験)までに計画性を持って練習(勉強)すること

→ どの時期までにどのプレー(分野)を納得のいくところまで練習(勉強)するかを計画すること

・自主練習(勉強)として使える時間と、チーム(クラス)で同じ内容の練習(勉強)をする時間があること

→ 自分で使える時間に何をするべきか(何が足りていないか、苦手か、得意か、)常に明確にしておくことで、チームやクラスといった全体で同じ事をする際でも自分の課題をイメージして内容のある練習(勉強)ができる

少し強引に感じるかも知れませんが、こんなイメージです。

試合は対戦相手がいますが、試験も試験を作る人といった対戦相手がいます。

しっかり頭を整理して自分をよく理解して、準備しておく事で”その対戦相手”がヒネった事をしてきても冷静に対応できる確率が上がると思います。

【このプレーはほぼ100%できる】

【この分野はほぼ100%理解している】

といった自分自身への理解と自信があるからこそ、

「思い切っていける」ものだと感じます。

この過程がなく「思い切っていく」のはただの”運まかせ”で”適当”な考え方です。

もちろん、本番では、練習(勉強)で経験したことがないようなプレー(問題)と遭遇することもあります。

この際も、

【このピッチャーのストレートは速くて難しいが、変化球は打てるかも】

【この問題初めて見たけど、この部分は理解できてるから解けるかも】

これが「割り切っていく」「開き直っていく」ということだと思います。

打席後でのベンチの会話でコンスタントに結果を出せる選手は、

「これは打てる、これは打てない」といった見極めが速く「割り切って」クリアな状態で次の打席を迎えている印象です。

反対になかなか結果が出ない選手は「とりあえずストライクは打とう」といった少し上記で述べた”運任せ”な感じが強いような印象です。

(状況によってはあえて後者のような思考で戦う時もあるとは思いますがそれが戦略的なのか?自分の頭が整理仕切れていないからなのか?で大きく違うと思います)

試験であっても、「勉強している(つもり?)のに点数が取れない」人の特徴として、

自分で「これは分かる(理解している)、これは分からない(理解が乏しい)」といった頭の整理が準備(勉強)の段階で出来ておらず、

「何となく全体的に教科書を覚えた」、本番直前に「何を勉強していいか分からない」といった状態になり少しヒネった問題が出ると、

手も足も出ないといった結果に終わってしまっている印象があります。

結局のところ、目標に向けて結果を出すために、まず絶対にやらなければならないことは、

「自分が何が出来て、何が出来ないか」をしっかりと自己分析することだと思います。

チームの場合だとそれプラス「何を求められているか」も理解した方が良いかも知れません。

ここが明確でないと、本番までのこの時期に何をして、この時期がきたら何をするといった計画が立てられず ”何となく練習(勉強)”するという流れ作業のような毎日が過ぎて行きます。

いざ、本番がきた時に、

自分が準備してきたことを表現できるか?

準備出来なかった予想外のことに対して冷静に”自分ができること”を焦らずに遂行できるか?

これらは、本番を迎えるための準備、準備をするにあたっての「考え方」が全てだと思います。

準備の段階で考えてやるからこそ、結果が出なかった時に今やっていることを改善するべきか?継続するべきか?というのは、”何となく準備をした人” に比べれば、判断しやすいのではないかと思います。

「絶対に究極の場面では、やってきたこと以外は出ない、やってきてないから怯んでしまう」

埼玉県予選1位通過が決まった後のミーティングで10年目の選手でもあるキャプテンが話していたこと。

これが、リアルだな、、、と日々感じています。

選手には「考え方」で能力を押し殺してほしくない、そういった技術や科学以外のアドバイスは近くにいる誰がやっても良い仕事かな?と思います。

ですのでトレーナーの仕事でもあると感じます(^_^)

最後までお読み頂きありがとうございました。

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