どうも、トレーナーの中谷大志です。
まだまだ暑い日が続きます。
連日、炎天下の中で行われ、無事?幕を閉じた高校野球。身体がつって交代する選手、グランドに倒れこんで動けなくなる選手、毎日生まれるドラマのような試合展開に野球ファンとしては感動しつつ、この災害レベルと言われている中での大会はトレーナーとしては安全面へは課題だらけだと感じています。
大会前の高校球児へのアンケートとして、夏の全国大会を甲子園球場からドーム球場に移行するのはどう思うか?
と言った内容のこちらの記事。
たしかに高校野球全国大会=甲子園球場なので歴史ある聖地として目指す場所ではありますが、高校野球全国大会=○○ドームとなればそこを目指してそこが聖地で良くないか?と感じます。
高校球児だった時から月日が経ってこの職業をしている今、安全を管理する責任の目線から考えが偏っているのかも知れませんが、高校時代の自分は戦う場所ではなく、全国大会で強い相手と戦うことや、テレビの放送もあり注目度も高い大会で野球している姿を親戚家族やお世話になった方々に見せたい!という想いで汗を流していたと思います。
2年半の間、遊ぶ時間も恋愛をする時間もやんちゃする時間もないぐらい、すべてを野球にかけて学校、グランド、寮のみの高校生活(この刑務所のような生活の賛否はありますが、、、)の集大成が夏の全国大会。
その気持ちがぶつかり合うからこそ生まれるドラマや感動はたとえドーム球場でも存在すると思うし、せっかく全国大会にまで勝ち上がったのだから、熱中症でプレーができなくなるとか悔しい想いや、命を落としかねない危険性が少しでもない状態で目一杯プレーできた方が良いと思います。
完全に個人的な見解ですが、病気や怪我でボロボロになってプレーする光景は球数問題を筆頭に賛否がありますね、、、
確かに高校野球で終わってもいいという選手なら命に関わること以外は無理してでもやればいいかも知れないという気持ちもすごく分かります。
でも、それを許してしまうと2009年夏の菊池雄星投手の「ここで野球できなくなってもいい」という発言のように、その後、日本野球界を背負う逸材までもがそう思ってしまうのはどうかと感じます。
選手は高校生に限らず必ず「いけます、大丈夫です」と言いますし、これ以上プレーを続けれるか続けれないかを感情を含め自分では判断できないからこそ、何かルールが必要かなと思います。
短期決戦のトーナメントの面白さと選手の安全管理を天秤にかけた改革が必要だと感じます。
話が、ものすごく逸れてしまいましたが、今回は暑い中スポーツをする際に水分補給として何を飲めばいいのか?を説明していきたいと思います。
まずは、飲む量について。
飲む量は、チームスポーツの場合、個々で汗の量や運動量が変わってくるので最低ラインを設定しそれ以下にならないように意識する方法をとっています。
脱水について説明した前回の記事の前後の体重の差−2%を一つの目安として量的な面で水分補給がうまくおこなえているかを評価します。
運動前は500ml〜1000ml の水分とナトリウムやカリウムを多く含んだ食事を意識して摂取してもらいます。
チームでは体重測定に加えて練習前の疲労度を(例:良10〜1悪)といったVAS形式で数値化し個々の疲労感や体調の変化も評価しています。
運動中はいつでも自発的に水分が取れる環境を作り、日頃から体重が減りやすい選手には声かけをする。
運動後は冷たいシャワーや水風呂などで外的に体温を下げ、翌日に向け余分なエネルーギーを使うことによる疲労を防ぐ。それと同時に、冷たい水分補給によって内的に体温を下げ、運動後の体重をみて脱水状態を回復する量を摂取する。
このように飲む量に関しては、「人それぞれ違う」といった抽象的な見解になっています。そのために現場レベルで指標にしやすのが体重だと感じます。運動前後の最低2回測ることが重要で、継続することで個々の特性や体調の変化にも気づくことができ、選手自身が自分の身体の状態を把握する機械にもなるため重要です。
ひとつ注意するとしたら、一度の吸収量には限界があるので、がぶ飲みはせずに、コップ1杯〜2杯をこまめに摂取すること。
次に何を飲むか?について。
日本スポーツ協会では夏の運動中の水分補給として、、
- 5~15℃に冷えたもの
- 糖質が4~8%(100mlあたり8gまで)含まれるもの
- 食塩濃度が0.1~0.2%(100mlあたり100~200mg)含まれるもの
→ナトリウム濃度にすると100mlあたり40~80mg
このような条件を満たしたドリンクが水分を胃から小腸に送り出す速度が早い、つまり吸収が良いとドリンクといえます。
身近なスポーツドリンクとして例をあげれば、
→ポカリスエット 糖質6.2g ナトリウム49mg
→アクエリアス 糖質4.7g ナトリウム40mg
→グリーンダカラ 糖質4.4g ナトリウム40mg
など、見事に成分として上記の条件を満たしています。
スポーツドリンクは甘すぎるから薄めて飲むのは少し違うのかも知れません。
このように暑熱環境で長時間の運動時にはなるべくスポーツドリンクと言われるものを摂取する必要があるといえます。
では、OS-1でおなじみの経口補水液ってどうなの?
そもそも経口補水液は、下痢や発熱、過度な発汗など脱水状態に陥った際に補給する飲み物で、熱中症予防のスポーツドリンクではありません。
軽度〜中度の脱水状態の人が重度にならないように予防するための飲む点滴といえば分かりやすいでしょうか、、
代表的な商品の成分を見てみると
→ OS-1 糖質2.5g ナトリウム115mg
→ アクアサポート 糖質2.3g ナトリウム115mg
など、糖質はやや低くナトリウム濃度が高い作りになっています。
脱水状態のような、血液が濃くなっている状態に対して早く吸収するように作られているので、健康状態の人が予防として飲むのは体液のバランスなども考えると少し違うのかも知れません。ナトリウム濃度が高いので高血圧など持病がある際なども注意が必要です。
このように、水分といっても真水〜糖質たっぷりのジュースまで様々です。
もっといってしまえばお酒も水分と言えるかも知れません。しかし、アルコールには利尿作用の他、アルコール分解に大量の体内水分が利用されてしまうため脱水状態になります。
お酒を飲んだ翌朝に、口や喉がカラカラになっている経験がある方も多いかと思います。
以上のように、熱中症を予防するための水分補給として、水分に含まれる成分みて飲み分けることが必要です。
運動中に夏の期間、チームで用意しているドリンクは、、
- 麦茶
- ポカリスエット
- ミネラルウォーター
- 経口補水液
あとは、各自で好みのドリンクを用意してもらっています。
中には運動中に甘い飲み物が苦手な選手もいるので、運動前半や比較的軽度なメニューであればお茶や水、長時間や強度の高い練習の際はなるべくスポーツドリンクかお茶+塩分タブレットなどの摂取を促しています。
また、体重の減りやすい選手や運動量の多い選手で水分補給が追いつかない選手は水分補給の5回に1回を経口補水液にするなどの工夫も試しています。
好きなものを飲むという行為もアスリートにとって時に精神的な疲労やストレスに最適な飲み物とも言えるので、脱水の危険が低い時や、次の運動まで回復にあてる時間が長いときは好きな飲み物でもOKにしています。
最近では、アイススラリーといって氷と水が混ざった飲料(いわゆるシャーベット状のもの)が深部体温の低下を誘発し、運動前のプレクーリングに効果があると研究結果が出ており、すかさず大塚製薬さんからポカリスエットアイススラリーといった新商品が出ています。さすがです^^;笑
知識的な情報の記事が続いているので、私自身のトレーナーとしての失敗体験なども今後upしていけたら面白いかなと思います。
冒頭の逸れた内容から、本題とまとまりのない記事となりましたが、引き続き残暑というにはまだ早いような酷暑を安全に乗り切るためスポーツ指導者、トレーナーは啓蒙していかなければなりません。
では、この辺で。