体重管理 〜失敗を経ての再確認〜

どうも、トレーナーのAmbiです。

8月後半は残暑といって良いのか分からないほどの気温となりました。9月ももう少し30℃を超える日々が続きそうです。

そんな中、野球というスポーツの伝統なのか、競技特性なのか、暑い時期に夏の追い込み練習強化練習などといった名目の練習が行われることが多いと感じます。

小、中学生ではあまり聞きませんが夏休みということもあり、昼間の1番暑い時間帯に行うことも増えたり、高校生は夏の予選前、気温にも慣れておらず1番熱中症が増える時期の6月中旬〜後半あたりにそれまでの倍ほどの練習量になったり、走り込みと言われるトレーニング?をひたすら行ったり、、、

7月の予選に負けた学校は新チーム練習といった夏の猛練習が始まったり、、

大学生も秋のリーグ戦(9月頃〜)前にいわゆる追い込み期間が設定されたり、、、

そして社会人野球も秋の全国大会である日本選手権予選(9月頃〜)に向けて強化練習が行われたり、、、

もちろん、試合に向けて少し練習量を増やす期間、そして練習量を落とす試合前期間を設定して取り組むことは何の間違いでもなく良いことだと思います。

しかし、今年のようなこの酷暑の中、

「毎年やってるから」

「この時期と決めているから」

など何が何でもやるといったメニュー決定は指導者としていかがでしょうか?

「やると決めたことはやらないといけない」一見、指導者側のカッコいい言葉のようですが、やるのは選手であり、指導者は”やる”環境を考慮し整える意識を持たない限りは無責任言葉だと感じます。

また、私が携わらせて頂いるスポーツや、話を聞くスポーツの中でも特に野球は「練習時間を長く行うこと」「とにかく量をこなすこと」が選手の強化になる、体力がつくという考えの指導者がまだまだ多いです。

本来の練習は野球選手として技術を強化することであり、例えば、”1000回バットを振ること”を目的にした練習でその体力がついたところで、勝負所での1回のスイングスピードには繋がりません。もし行うなら”勝負所の1回を目的に繰り返した結果の1000回”の意識が必要。

夏の大会を乗り切るための体力面の強化だと言うのなら、毎日疲労困憊な状態でなんとか乗りきるような日々の練習は次の練習までの回復が追いつかずコンディション不良のリスクが大きい。

スポーツ経験者の方なら理解できると思いますが身体を鍛えるという意味では休み(回復)がなければ成長は見込めません。それに一定の期間のみボリュームをあげる練習は果たして体力が向上するのか?もし体力の向上を目的とするなら年間を通して計画的に強度や量の調整をすべきです。

ある程度(100%ではない)の力で決められた量をこなす体力トレーニングは、100%を繰り返してMAXを更新するようなパフォーマンスUPを目的に強化する練習ではないのです。

批判っぽく書いているように感じられるかも知れませんが、このような量を行う練習が必要ないと言う意味ではなく、40℃近い環境で行うことでの熱中症などコンディション不良リスク、選手のモチベーション管理、練習に対する目的意識などを再考した上でのメニュー設定が必要だと思います。




いつも通り、冒頭部分が長くなりましたが本題に入ります。

前回の熱中症関連の記事で脱水に関しての評価として運動前後の体重が−2%を下回らないことを目安にすると書きました。

チームでも5月頃から促し始め意識づけを行い、やっと7月の本当に熱くなってきた時期ぐらいから定着してきました。

様々な参考書にこの「練習前後の体重管理は−2%を指標に!」というような文言があるので私も使っていましたが、現場レベルではどうなのか?

実際のアスリートの体重を毎日自分の目でチェックすることを、今年初めてひとつのチームへ常勤でのトレーナー帯同となったので実践している結果を少し紹介します。

まず実践の中で気付きのひとつは、軽度の熱中症症状を訴える選手の多くは日々の練習後に−2%の減少している選手というのが面白いほど当てはまること。

これが本当のエビデンスという言葉の意味かなと感心し始めたところ、8月中旬にそれが確信に変わる失敗が起きました。

高温、高湿の中で行われた練習試合でキャッチャーの選手がスパイクの中に水溜りができるほどの発汗で水分補給も追いつかず、試合中に脚の攣りいわゆる筋けいれんの症状が出て交代しました。

その選手も普段から−2%近く脱水が起こっている選手でその日の試合後の体重は−3%〜4%程度まで落ちていました。

食欲などは問題なかっためとにかく、体重を戻すように、水分補給、食事のリカバリーを徹底させました。

翌日の練習前の体重測定では、昨日より回復したものの普段の−2%程度の減少状態でした。

練習メニューがその日は比較的軽度なこと、体重以外の自覚症状がないこと、選手の置かれている立場などから、少しでも異変を感じたら練習から外れる(外す)ことを約束しその日の練習に参加しました。

練習開始、約1時間後、昨日と同じように各部位の攣りが起こってしまいました。

水分補給や身体冷却をしながら少し落ち着くまで経過観察をしていましたが、次々に全身の攣り症状が起こり出し身動きが取れない状態にまでなってしまい、そこで救急車要請を判断する事態となりました。

体重が戻っていない時点で別メニューにするなどの選択肢を持ち、強制的にこちら側からストップをかけることをすべきだったという反省とともに、やはり体重を指標にすることがスポーツ現場にとって非常に現実的で信憑性のあることだと再確認しました。




8月後半にもう一度訪れた酷暑の際には、40℃近い炎天下の中、8時間を超える練習が行われほぼ全員が熱中症症状を訴えました。

必死に練習前、練習中の水分補給の量、質を促し意識しても体重はほとんど全員が-2%をきっていました。つまり、水分補給が追いついていないと考えられます。

体重の減少がおおきいあ頭痛、身体の攣り、だるさをが顕著に現れました。

再三にわたって危険性をアナウンスしていたのですが、冒頭で書いたように「強化練習期間だから」「毎年やっているから」といった決まり文句の中、過酷な環境で過酷なメニューが行われ、案の定、選手はコンディション不良。

選手を守るために、指導者にもう一度選手の状態を把握した上で練習内容を考えていただくように提案しました。暑いからといって練習ができないのは”体力不足だ!” ”普段から練習をしていないからだ!”とものすごく嫌な顔をされますが、トレーナーとして違うことは違うと言える覚悟も必要だと思います。

我々トレーナーは怪我後や事故後に丸投げされる立ち位置ではなく、いかに予防するかが第1の仕事です。

練習前にグランドの石を拾うのも、防球ネットの位置を確認するのも、練習内容の方向を示すのも、翌日の天気予報を確認して選手に共有するのも、全てトレーナーの”リスク管理”という大切な仕事なのです。

めちゃくちゃな練習をして、怪我をしたら「トレーナーに診てもらえ」ではまさに本末転倒です。その辺りはスポーツ指導者の方への理解が必要だと感じます。

トレーナーとして、自分の立ち位置をはっきりするために、仕事として価値のあるものにするためにいかに発言力を持てるか。

結局、その辺りは普段の人としての言動がもっている専門知識にプラスされて発揮すると思います。

もしこれが、人工知能トレーナーが

「今日は危険な暑さで選手の体調も落ちています、練習メニューを考え直しましょう」

といったところで、人間の考え方は変わらない気がしませんか?

チームスポーツは特に「あいつが言うなら」「あの人がそう考えるなら」といったところが大きいと感じます。

専門知識はほとんど参考書に載っていることで「知ってるか知らないか」でどこかに載っている内容がほとんど。この時代、検索すれば正しいかどうかは別として様々な情報がすぐに手に入ります。

だからこそ、この職の価値を上げるためには “人間臭さ” がもっと必要だと感じます。

話が、右往左往しましたが、今回はたかが体重、されど体重といった、失敗から得た再確認についての記事でした。

体重を測るという、簡単なことほど深く掘り下げて目的をもつことがプロフェッショナルたる所以ではないでしょうか。

では、この辺で。