アスレティックトレーナーの中谷大志です。
夏の代替大会が決まったりセンバツ出場が決まっていた高校が夏に甲子園球場で交流戦といったかたちでも、最後まで野球ができるチャンスができたことが何よりの救いだと感じます。
帯同している社会人野球チームでも、全体練習が再開しいよいよ都市対抗大会という最大の目標に向けて再スタートを切った雰囲気です。
改めて、目標とするものがあることの大切さを実感しています。
さて、今回はチーム専属トレーナーの1日を紹介します。
私たちトレーナーと呼ばれる存在が、チームでどのような仕事をし、どんな影響を与えているか?
現在帯同チームの私が過ごしている1日を例に書いていきたいと思います。
(偏った内容になりますので、ひとつの例だと思ってご覧ください)
もちろん、チームやそのトレーナーの持つ資格や契約形態によっても少々異なるのでそのあたりも考慮しつつ、読んでいただければ助かります(^_^)
過去の記事でも、何度か書いていますが、まずは私自身の仕事環境をざっくり紹介した上で1日の流れを振り返ってみます。
カテゴリ:社会人企業チーム(硬式野球部)
選手人数:30名(補強選手期間などは3名ほどプラス)
契約形態:常駐 専属トレーナー
トレーナー人数:1人
保有資格:鍼灸師・JSPO-AT・NSCA-CSCS
このような環境のもと働かせてもらっています。
まず、1日(練習日)のスタートは、、、
●ウォーミングアップの準備(7:00〜)
マーカーやミニハードルその他ウォーミングアップで使用する道具の準備や設置したり、グランド状況や気温などの確認をします
確認をすることによって、その日に気をつけるべきことを把握し予期せぬ怪我予防に努めます
ウォーミングアップに各種フィールド測定を組み込む場合はその準備も行います
●選手のコンディションチェック(7:30〜)
体重や自覚的疲労度、体温など各設定項目を選手に起床時練習前に記入してもらいそれを確認する
普段からの変化や気になる項目があれば直接、聞き取りをします
●練習前コンディショニング (8:00〜)
テーピングや物理療法を使っての準備、身体的課題がある選手のセルフエクササイズの指導などを行います
●スタッフ間の情報共有ミーティング(8:45〜)
その日の練習メニューの確認、故障者の状態、などスタッフ間での必要事項を練習開始前に共有しておきます
●練習開始 ウォーミングアップ指導(9:00〜)
時期や状況、その日のメニューに合わせてウォーミングアップを行います
約40〜60分程度の構成で組む事が多いですが、環境によっては30分程度でまとめる必要がある場合もあります
時期によってはここにコンディショニングメニュー(ランニング系、サーキット系、アジリティ系など)を組み込む場合もあります
●練習中 (10:00〜15:00頃)
・安全管理
防球ネットは正しい場所に設置されてるか?練習やトレーニングを行う場所が安全か?などを常に確認します
・水分管理
選手の汗のかき方や、その日の気温、練習強度などを考慮して水分摂取を促したり、摂取する水分の温度や中身(何を飲むか?)を管理します
・応急処置
安全管理を徹底していても万が一怪我が起きることはあるので、その際の応急処置を行います
すぐさま、病院診察が必要か?もしくは救急車が必要か?
少し処置をして、練習に戻れるのか?1日様子を見て判断が必要か?
色んなシチュエーションがあります
・コンディショニング メニュー指導
年間計画→月間計画から組んでいる計画したその日行うメニューの提示、指導を行う
メニューの強度や量は時期やチーム状況などによって計画しています
・アスレティックリハビリテーション指導
怪我をしている選手に対しての競技復帰に向けてのエクササイズ指導
体力面も落とさないように患部以外のトレーニングもリスクを管理しながら積極的に行います
・練習メニューの補助
社会人野球は選手やスタッフの数が限られているため、キャッチボール相手をしたり、ボール拾いを手伝ったり、その時チームに必要なところを手伝います。
●ウエイトトレーニング指導(15:00〜)
練習後は自主練習などのスキル課題に取り組む選手と計画しているウエイトトレーニングもしくは、個別の課題に対するトレーニングを行う選手に分かれ、対象選手に対して指導を行います。
●治療・ケア(18:00〜22:00頃)
鍼灸治療、電気、超音波などを使っての物理療法による痛みや張りの改善
痛みが出る前、違和感などの段階でのケア、予防的観点での治療を行います
●データ整理、測定結果整理、日報、カルテ記入(22:00〜)
その日の各種数値の整理や、データ処理などを行います。
ほとんどがPC作業のため1日の終わりにすごく疲れます(笑)
隙間の時間を使ってこのあたりの作業は効率よく処理していきます
●トレーニング、勉強(23:00〜)
自らのトレーニングや学習をこの時間から行います。
治療や作業が早く終わればこの時間が多くとれるようなイメージです
以上、細かい内容を除きざっくりと1日の流れを紹介してみました!
何度も言うようにこれは1チームの1専属トレーナーの働き方であり様々な仕事環境や立ち位置がそのチームによって存在します。
「スポーツチームの専属トレーナーになりたい!」と言う学生さんや現在他の職に付いているが「専属トレーナーをしてみたい!」とお考えの方には多少なりと参考になりましたでしょうか?
今回は練習日の1日を紹介しましたが、チームのOFF日であっても怪我人の病院帯同をしたり、治療、課題がある選手のリハビリ指導、トレーニング指導、備品の買い出し、次クールの準備・計画、業者・メーカーの営業対応、などチームがOFFの日にしかできないことも多くあり、実質自由な時間は限られています。
はっきり言って、なかなかの体力が必要で、自由はほとんどありません。
もちろん私も機械人間ではありませんので、プライベートもありますが、その際でも選手やチーム関係者からの連絡は常に気にして、プライベートの食事や買い物の途中でも打ち切ってチームを優先する場合もあります。
私の契約形態は治療の人数やトレーニング指導の人数、各種測定の回数、身体機能の向上、試合の結果などが給与に反映されるわけではなく、なんとなく最低限の仕事をこなしても、プラスアルファチームのために働いても一定の給与なのが事実です。
これは批判でも文句でもなくて、頑張らなくても良いけど頑張りたくなってしまうのは、やはり選手達に心を動かされるからであり、ときに素晴らしい景色をみせてもらえるから(悔しさも含めて)です。
だからこそ、良い景色を一緒に見るために何が必要か?を日々考えて、分からなければ調べて、参考書を買って、時には大金を払ってでも詳しい人の話を聞いて選手のプラス、チームのプラスになるように取り組み続ける、勝負し続けるわけです。
もちろん私以外のチームに関わる多くの人がそういったプラスアルファで”チームのために”動いてくださっている方がたくさいん存在します。
その方々の存在も、私にとっての日々勝負できるモチベーションでもあります!
しかし、時にアスリートは様々な事象から周りが見えなくなり、ついつい自分優位な行動や発言をしてしまうこともあります。特に若手選手などでその辺りの支えの存在に気づけていない選手はそのような言動をとってしまうことも、、、
若手選手だけがとは限りませんが、そういった面の「気づき力」がない選手に対しては寂しいというか、がっかりするというか、苛立たしいというか、、、
そういった感情になってしまうのも事実です。
裏を返せばそれだけ感情を入れ込んでやってるという事でもあり、何も考えずに言われたことを最低限こなすだけの日々であればそのような感情さえも生れないと思うので、、、
これも、完全に私の性格上の問題なので全国各地のトレーナーさんのスタイルがあると思います(^_^)
良い意味で感情的に喜怒哀楽をうまく表現できる人間になれるように、まだまだ自分自身をコントロールできるように、己の成長も必要だと感じます。
日々、精進して参ります、、、
では、この辺りで。。
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“チームの “専属トレーナー” 1日の仕事内容は?〜社会人野球チームの一例〜” に1件のコメントがあります