さいたま市でチーム専属のアスレティックトレーナーをしています中谷大志です。
緊急事態宣言が出された数ヶ月前は、心配されていたスポーツ業界も、プロチームを含め、時期や形は変われど多くのスポーツが日常に戻ってきました。
私の帯同している社会人野球チームも例年目標とする大会で今年唯一の大会となった「都市対抗野球大会」の地区予選が全国各地で始まっています。
帯同チームもいよいよ、その日が迫ってきました。
本来であれば、年間スケジュールの上で目標とする日に向けて心技体全てをベストな状態に持っていく計画をしますが、今年に限っては世の中の流れと日本野球協会の判断、また企業チームは会社側の判断などをもとに、計画をしなければならず、流動的になることがほとんどです。
今シーズンの現在までおよび今後の流れは以下の通りです。
- 1月:2020シーズン開始、長期オフ後の動きづくり〜基礎体力の向上
- 2月:中旬よりキャンプ、引き続き身体の準備を行いながら温暖地にて競技練習の割合増加、実践練習も徐々に開始
- 3月:OP戦開始
- 4月:自粛期間(制限付き自主練習)
- 5月:自粛期間(制限付き自主練習)
- 6月:チーム練習再開、中旬頃から実践練習、OP戦再開
- 7月:OP戦 10試合程度
- 8月:OP戦 10試合程度 【現在】
- 9月:都市対抗 地区1次予選
- 10月:都市対抗 地区2次予選
- 11月:下旬より都市対抗大会本戦
ざっとこのような流れになっています。
本来であれば自粛期間となった、4、5月に地方大会や6月に日本選手権大会予選、7月に日本選手権大会本戦に挑む予定で1〜3月の計画していました。
私はチームのコンディションを管理する立場ですので、そういったスケジュールから逆算してその時期その時期にやるべき事を提示していくのが仕事のひとつです。
というのも、私自身の考えの中に、体力や筋力という観点からみれば例えば大会数週間前に走り込んだり、バットを振り込んだり、ボールを投げ込んだところで、その状態から向上を図ることは非常に厳しいという考えがあります。
むしろ、疲労が抜けず、結局『やった感』だけでパフォーマンスが低下した状態で大会を迎えてしまうリスクもあります。
もちろん、技術的な感覚のところで、うまくいかないときに、もがいて練習をやりこんで掴むこともあるのも理解していますので、最終的には選手自身の想いに任せることもありますが、そのような場合の時こそ、割り切って身体の状態を整えたり疲労をとった方が良い方に向かうことも少なくない印象があります。
ですので、私がコンディショニング計画をする際には最低でも3ヶ月、もしくは4ヶ月前から逆算しています。
それを積み重ねた結果がその勝負したい目標を迎える時の姿だと思います。
これは感覚論ですが、
勝負どころで割り切った考えができる選手、思い切ったプレーができる選手は、その試合までの過程が明確になっており、普段からそれを積み重ねているからこそ、そのようなプレーが究極の場面でも発揮でき結果も付いてくるのかなと感じています。
逆に、日頃からその日の結果に一喜一憂して積み重ねてきたものが何となくの感覚しかない選手は勝負どころで迷いが生まれて本来のパフォーマンスが出せない事が多いように感じます。
あまりこの辺りに深入りすると、マインドの要素が大きくなるので、話を戻すと、フィジカル的な面で、何となく仕上がったかな?といった感覚だよりの状況をできる限り無くすために目標とする大会に向けて最低3〜4ヶ月の逆算をします。
現在、ひとつ大事な試合を迎ていますが、3〜4ヶ月前というのは、ちょうど”自粛期間”に当たります。
帯同チームの”自粛期間”は幸いなことに制限がある中ですが自主練習というかたちで身体を動かせるスペースや時間は確保して頂けました。
そこでトレーナーがチームに求められたのは、、
- 基礎体力を落とさないこと
- チーム練習再開時に怪我をしないように準備すること
大きく言えばこの2点です。
技術練習も制限がありできることが少なかった中で、私が選手の運動量を管理する割合は通常シーズン時より大きくなりました。
求められていることを細分化し、、
- 体重、脂肪量、筋肉量のコントロール
- 筋力、持久力、柔軟性の向上(最低でも維持)
- モチベーションの維持、各自の目標設定
この辺りのチームに求められていることを意識しこの期間のトレーニングメニュー計画、全体練習再開に向けてのコンディション管理、準備を行いました。
とはいえ、4月の上旬は、目の前に来ていたシーズン開幕が先延ばしになり、目標を失った状況の選手のモチベーションを維持して毎日コツコツやることは非常に難しいと感じていました。
トレーニングルームも3密に引っかかるといった理由で動かせる器具を室内練習場に移し、いつもとは違う環境で取り組まなければなりません。
しかし、1〜2週間程度で数名の選手は気持ちを改め、「今できること」を意識して取り組み始めた印象があります。シンプルに尊敬しました。
5月にもう1ヶ月延長が決定した際には、いい意味で自粛期間の生活習慣が生まれていたので「継続してやるしかない」といった雰囲気もありました。
主に取り組んでもらった事は、、
- ウエイトトレーニング(筋力向上・維持)
- コアや股関節などの筋力・可動域改善のコンディショニングドリル(怪我予防・調整)
- インターバル走、シャトルラン系トレーニング(持久力向上・維持)
- ロープなどを含んだサーキット形式トレーニング(乳酸耐性の向上)
- 自重でのプライオメトリクス(ジャンプ系)トレーニング
- スプリント、アジリティドリル
などを中心にシーズン中にはできない(やらない)ぐらい、ハードなメニューを組みました(^_^;)
ただ、練習量が少なくなるからという一つの理由で、ハードにした訳ではなくて、経験者の方は分かると思いますが、バットスイング動作、ピッチングなどのスローイング動作、守備練習のノックなどアジリティ、フットワーク動作、など全身運動を繰り返す野球の競技練習は、想像以上にハードです。
そのハードさを理解した上で、これぐらいのメニューをこなしておかなければ、チーム練習再開後、身体的に追いつかないと感じたからです。
もちろん、選手全員が高いモチベーションで行えたとは思っていませんが、多くの選手から「この期間に何かを得る」という意欲が行動や言葉に出だした時は、達成感のようなものさえ感じました。
私自身も専門性を求めつつ、どうすれば、より伝わりやすく、より意図を理解して取り組んでもらえるかを試行錯誤する日々は、活動再開した今も貴重な経験になっていると思います。
また、その自粛期間に伝えきれなかった選手に対しても、次にこのような長期的に個人の意志に任せなければいけない場面が訪れた時、どういったアプローチができるか?といった課題も生まれました。
こういった、3〜4ヶ月前からの取り組みをコツコツ積み上げた結果を映しているのが、現在の姿です。
また、最終目標である大会が11月下旬ということはこの8月からの3ヶ月の取り組みが非常に大切だということでもあります。
話がダラダラと続いてしまいましたが、、
何が言いたいかというと、
何か結果を出したいとき、直前に焦ったり、無理して失敗リスクのある一か八かな判断をしないために、逆算して今、自分がすべき事、足りない事をひとつずつクリアにしていき、コツコツと積み重ねて行く事が結局は一番大切ということ。
ただ、これを続けるのが一番きつい、、、
そこは厳しいかもしれませんが、どうなりたいか?何のためにやっているか?といった ”自らの想い”がなければ絶対に続きません。
結局、最後は自分次第なのです!
自粛期間のハードワークを本気で取り組んだ選手達が、この7月、8月で結果を出しチームがさらに同じ方向を向いて進み出している、今この瞬間を、肌で感じる事ができる日々は、専属トレーナーとして一番”グッ”ときます(^^)
緊張感が少しずつ出てきましたが、これもまたスポーツ現場で働く醍醐味だと思います。
シーズン中に不安や緊張が消えることはありませんが今年もこの緊張感を味わえることに感謝してチームと同じ気持ちで戦っていきたい。
不安と同じか少し多いぐらい楽しみな気持ちもあり、ものすごくワクワク?しています!^^;
9/1〜 都市対抗大会 埼玉予選
10/2〜 都市対抗大会 南関東大会
これに勝てば東京ドームで11/22〜本戦
大人の一発勝負も泥臭くて熱くてカッコイイので、ぜひ下記サイトで動向をチェックしてみて下さい!
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“チーム(選手)の現在の姿 〜約3ヶ月前の ”自粛期間” チーム専属トレーナーは何を求められたか〜” に1件のコメントがあります